三回忌は、故人を偲ぶ重要な法要の一つです。
お供え物や香典を渡す際、のしの書き方やマナーを正しく守ることが大切です。この記事では、三回忌での適切なのしの書き方や渡し方のポイントをわかりやすく解説します。
のしとは
のしというのは一般的に「贈り物を包むための包装紙」のことを言い、三回忌のような弔事の場合であれば、香典のお金を入れる袋を包む紙のことを指し、「御霊前」といった表書きを書く紙がのしとされます。
のしはもともと薄く伸ばした鮑(あわび)が流用されていました。また一説によれば、伸した鮑から転じて「のし」という言葉が生まれたと言われます。さらにのしははじめ神仏にお供えする品を包むために使われていました。
のしの由来
先述でもご紹介しましたが、のしはそもそも薄く伸ばした鮑(あわび)が流用されており、多くの諸説によれば、伸した鮑から転じて「のし」という言葉が生まれたと言われて現在でもその由来が信じられています。
そして神仏に捧げるためにのしが使われるのが風習としてあったため、特に三回忌から七回忌までの風習を重んじる上で、のしの巻き方・書き方などは徹底して文化的な発展とともに形式が取られてきました。
のしの役割
国内外でも贈り物をする際にはその品物をラッピングしたり、リボンを付けて装飾を施しますが、この「のしの働き」はそれと同様の役割を果たすことになります。つまり渡すべき物を外部に見られないようまず包装紙としての役割が持たされ、その上で神仏への捧げものをする際の礼儀として「包む」というマナーが重んじられました。
包装紙や飾りの役割を果たすために使用されるのしですが、現在では儀礼を重んじる役割があります。
三回忌ののしの書き方
まずのし袋の書き方について言う場合、一般的にどうすればよいかわからない点として表書きというものがあります。表書きとはのし袋上段に書かれている御仏前などの部分のことを指し、その部分に書き込む「儀礼を重んじた文字」が記される必要があります。
この表書きというのは、渡される側には瞭然の記載となるため、神仏に捧げる記載としても必ずマナーに沿った上での記載方法を把握しておくことが大切になります。
1:表書きの書き方
先述の引き続きですが、この「のしの表書きの書き方」についてのご紹介です。まずのしの表書きは、個人名、連名、夫婦の連名、連名・宛名入り、多人数で贈る、肩書きを入れる際の書き方などがあり、それぞれの用途に沿って書き方が変わります。
のしの表書きではまず「御祝」という表記が中央の上部に位置して書き、その水引の下に個人名、連名、肩書きを書き入れる方法が取られます。複数の連名の場合は「一同」でかまいません。
仏式の場合
仏式の場合では、三回忌であれば御仏前か御佛前を使われます。四十九日を過ぎれば仏教では故人の魂は成仏したとされるため、故人は霊の状態とはされません。そのため御霊前は表書きには使わないことになります。
この場合、「御供物料」と記載することもでき、一般的には御仏前がよく使われ、御仏前を書くのがベターです。香典以外に三回忌ではお供え物を渡すことがあり、その際は御仏前の他に御供を表書きに使うことができます。
神式の場合
一般的に神式の場合は三回忌に相当するものとして三年祭というものがあり、その際には仏式の場合とは違った表書きの記載方法が見られます。神式の場合であれば、のし袋の表書きは御玉串料や御供料を書き、品物を渡す場合では表書きとして御供や奉献を使うことになります。
神式の場合でも仏式の場合と同じく、神仏に捧げものをするという姿勢が変わらないため、まずは両方の表書きの書き方をマスターしておきましょう。
2:名前の書き方は
さて、次にのしの「名前の書き方」についてのご紹介です。先述の表書き以外にものし袋の書き方で迷うのは名前の書き方が見られます。個人でのしを巻いて捧げる際にはそれほど困惑する機会はないですが、二人以上の時にどのように名前を記載法では主に「連名」が使われます。
この連名というのは年賀状を書く際でも使われるため、のし袋の書き方でも身近な感覚で覚えておきましょう。
夫婦の場合
「のしの記載法」で夫婦の場合の名前の書き方は、基本的に「夫の名前のみ」を記載します。一般的には香典やお供え物は一世帯につき一つで良いとされているため、世帯主である夫の名前を記載すればそれで問題ありません。
上記を踏まえ、妻側の親族である場合や妻も故人と深い付き合いがあった場合は二人の名前を連名で書くことができます。連名で書く場合はのし袋の下段中央に夫の名前を書くようにしましょう。
複数人の場合
複数人で香典を包む場合には、その参列する人数によって書き方が変わります。
- 二人の場合は、のし袋の下段中央に線対称になるように二名の名前を記載
- 三人の場合は、下段中央に一人の名前を下記、残り二名の名前を両隣に記載
- それ以上の複数の場合は、代表者の名前を下段中央に書き、その左下に「他○名」と記載
会社・組織として香典・お供え物を渡す場合には会社名か、その代表者名を書く形になります。
3:墨の選び方
次に、のしにいろいろな文字を書き入れる際に使うべき「墨(墨汁)」についてのご紹介です。基本的に三回忌の場合は「濃い墨」を使用することが一般的で、薄い墨を使用することは好まれません。
これは三回忌ならではの特徴を示しており、その他のお通夜や葬儀の際には基本的に「薄い墨」を使用するのに対し、三回忌はそれらの儀式をすでに終えており、法事用の記載になります。また筆ペンで書いてもかまいません。
4:水引の選び方
次に「水引の選び方」についてのご紹介です。まずこの「水引」というのは、通常ののしに巻かれているリボンのような付帯を指します。三回忌の場合に使用する水引は、通常では黄白、双銀あるいは黒白のものを使用し、水引の結び方は結び切りのものを選びましょう。
この水引については、特定の儀式に用いられる場合には「故人を忍ぶ想い」が込められているため、「お飾りだから」といった希薄な想定をして選ばないようにしましょう。
水引の色
先述でご紹介しました「水引」について、その色の選び方のご紹介です。これは先述でも触れましたように「黄白」、「双銀あるいは黒白」の物を選ぶのが一般的です。間違っても「赤白」の色合いが混ざった水引を選ぶことは避け、法事と祝儀との区別をしっかり付けておきましょう。
赤色というのは文化的風習においては「おめでたい席で選ばれる色」となるため、法事に用いられる色合いとしては禁忌を含む色合いとなります。
水引の結び目
次に「水引の結び方」についてのご紹介です。この水引の結び方にはあらかじめ決められた結び方があり、この結び方一つにしても「間違った結び方」をしないようしっかり心掛けておきましょう。
水引の結び目には、結び切り、あわじ結び、蝶結び、などがありますが、三回忌用の供え物を包む際の結び目は一般的に「結び切り」がなされます。この結び目をする際にも水引の色合いを先述に習う必要があります。
5:のしの中袋の書き方
こののしには中袋というものがあり、この中袋には「供え物の内容・説明」などが記載されます。この場合でもあらかじめ決められた書き方が用意されており、たとえば算用数字は使わず、必ず漢数字が使われることがマナーとしてあります。
主にこの中袋には、のしを巻いて供える物としてお金が捧げられるのが一般的であるため、その金額を漢数字で記載されることが多く見られます。この漢数字の書き方をしっかり覚えておきましょう。
表面
次に「のしの表面の中袋の書き方」についてのご紹介です。この表面というのは先述でご紹介しました「のしの中袋の書き方」をそのまま示しており、その記載内容は主に「供え物の内容・説明」といった供え物の情報について記載する部分になります。
そのため、金額であればその金額を漢数字で示し、また他の供え物であればその供え物の商品名を楷書で記載します。この場合、手書きで書くのが一般的ですが、活字でもかまいません。
裏面
一般的に香典やお供え物を遺族の方に渡した場合、その法事を終えた後に「遺族からのお返し(返納)」という儀礼的風習があります。その場合に供え物を納めた人の氏名・住所を確認できるように、この裏面には「供え物をした人の氏名・住所・役職」などが記載されます。
この場合でも一般的には手書きで記載することが望ましいですが、ワープロを使用した場合の活字印刷でもかまいません。氏名は必ずフルネームで記載しましょう。
三回忌ののし袋の渡し方
次に「三回忌ののし袋の渡し方」についてですが、これは特に風習において決まったタイミングや渡し方はないため、施主が多忙ではなく、渡すタイミングにふさわしいとされる機会に渡すことが望まれます。しかしこの場合でも「供え物の渡し方」のマナーがあり、必ずのしできちんと包装しておき、裸の状態で渡すことは避けましょう。
この場合も袱紗(包む用の布)の色は寒色にしておき、法事にふさわしい色合いにしておきましょう。
渡すタイミング
のし袋を渡すタイミングについてですが、先述のように基本的には「これ」と決まったタイミングはないため、基本的には「施主が多忙ではないとき」、「落ち着いて供え物を渡すことができるタイミング」で渡すことが望ましいです。
基本的には三回忌に参列した初めに渡すことが礼儀としてあり、遅れて渡すというタイミングを避けることが望ましくなります。この辺りの礼儀・風習もしっかり把握しましょう。
渡す際のお悔やみの言葉
次に「のし袋を渡す際に、施主に掛けるべきお悔やみの言葉」についてのご紹介です。お悔やみの言葉の例もいくつかあり、このお悔やみの言葉を伝える際には、基本的に「禁句」というものがあり、そのうちの代表的なものとしては「いよいよ」や「ますます」などといった「重ね言葉」を使わないことです。
「ご訃報に接し、心より哀悼の意を表します。心ばかりですがご仏前にお供え下さい」と言うのが一般的で、禁句に注意しましょう。
三回忌ののしの書き方とマナーを知ろう
今回は「三回忌ののしの書き方|5つの書き方のポイントと渡し方を解説」と題し、「三回忌ののしの書き方|5つの書き方のポイントと渡し方を解説」についての詳細情報のご紹介をはじめ、「三回忌ののしの書き方|5つの書き方のポイント」をご紹介しました。
三回忌ののしの書き方・のし袋の渡し方は、日本においては文化的風習として長く守られてきた儀礼であるため、しっかりそのマナーを理解しておきましょう。