親族のみで新盆を執り行うという連絡が来たら、どのような服装で参列すればいいのか、畏まった服装である必要はないのか迷ってしまう人も多いでしょう。
本記事では、新盆に関する服装や持参物などをご紹介します。親族の新盆に招かれた際の参考にしてください。
新盆とは
新盆は「にいぼん」とか「あらぼん」と呼ばれる、故人が亡くなってから迎える初めてのお盆のことです。初盆(はつぼん・ういぼん)と呼ぶ地域もあります。
お盆は毎年季節の仏事として執り行われますが、通常のお盆よりも新盆は盛大に行われるのが一般的です。盛大といってもお葬式ほどではなく、「通常のお盆に比べ」という程度です。
新盆では、僧侶にお経をあげていただき、参列者でお墓参りをし、会食した後、散会となります。
新盆と通常のお盆の違い
新盆は、故人が亡くなってから初めて里帰りする期間という位置づけです。祭壇や盆棚を設けて、盆提灯などで飾り付けをしっかりして行います。「新盆見舞い」として故人ゆかりの人たちがご焼香に訪れる地域もあります。
新盆では通常のお盆の時期以上に、お墓の掃除を念入りにし、盆の入りには盆提灯に灯をともし「迎え火」を焚きます。お盆の最終日には送り火で故人を送り出します。
新盆の時期
お盆の時期は地域によって7月か8月に行われます。新盆もそれぞれの地域のお盆に執り行われます。
新盆は、故人が亡くなって初めてのお盆のことですが、仏教では人が亡くなって49日はまだあの世へ到達していないとされているので、新盆も亡くなって49日経過後の初のお盆に執り行われます。
お盆直前に亡くなった人は、翌年のお盆が新盆ということになります。
親族のみ新盆にふさわしい服装
新盆は、親族のほか、故人の知人・友人や近所の人などを招くこともありますが、最近は簡略化して親族のみで行われることが増えています。
親族のみで執り行われる場合も、施主となる故人の家族などは、あまりくだけた服装をしているわけにはいきません。喪服を着ていれば無難ですが、そこまでフォーマルにこだわる必要もありません。
ここでは、親族のみで行う新盆で、施主側の服装、参列者の服装をそれぞれご紹介します。
1:迎える側の男性の服装
故人の家族など、新盆の訪問客を迎える立場の人は、喪服のほか「準喪服」「略喪服」と呼ばれる服装のいずれかを選択します。
準喪服とは、喪服ではない黒のスーツのことを指します。略喪服とは、グレーなどダーク色のスーツのことを指します。
準喪服や略喪服を服装として選ぶ場合は、色だけでなく形についても「仏事にふさわしいか」を考えて選びましょう。
準喪服
男性の順目途は、シンプルなブラックスーツのことです。正式な喪服ではないものの、喪服に準ずる服装として、黒基調の服装とされています。
生地の色は黒であっても、柄が入っていたり、光沢がありすぎたりする服装では、準喪服の扱いになりません。
自分が持っている黒のスーツに透かし模様が入っていたり、デザイン性の高いスタイルだったりする場合は、喪服を着ておいた方が無難です。
略喪服
略喪服は、黒以外のダークカラーのスーツです。色以外についての考え方は準喪服と同じで、デザイン性が高すぎるスーツでは略喪服の扱いになりません。
ジャケットの中は、夏だからといってTシャツやポロシャツなどで許されるものではなく、きちんと襟のあるシャツを着るようにしましょう。
服装が黒でない分、カジュアルに見えてしまう危険性もあるので、全体的にシンプルにまとめましょう。
2:迎える側の女性の服装
女性の場合も、新盆で親族の訪問客を迎える立場の人は、喪服のほか「準喪服」「略喪服」いずれかの服装で臨みます。
準喪服・略喪服は、男性の場合はスーツですが、女性はスーツ・ワンピース・アンサンブルといった服装から選ぶことができます。
男性よりも服装選択の幅があるので、新盆が夏に行われることを考慮し、地味なカットソーなどを着ても準喪服や略喪服として問題ありません。喪服を着る場合もジャケットは不要です。
準喪服
準喪服はブラックスーツといわれていますが、女性の場合は黒いワンピース、黒のアンサンブルなどでも構いません。
ビジネスなどでもいえることですが、男性よりも女性の服装の方がおおらかに受け取ってもらえます。素材がカジュアルでなければ、黒のカットソーでも準喪服として着ることができます。
ボトムスは、キュロットやショートパンツ、膝上丈のスカートはカジュアル色が強いので避けた方が良いでしょう。
略喪服
略喪服とされる服装は、色が黒ではなくダーク色の落ち着いた色であれば構わないだけで、喪服や準喪服に近いデザインの服装を選びます。
女性の場合は、スーツだけでなくワンピースやアンサンブル、カットソーも許されますが、露出が高い服装は避けてください。
ボトムスも同様に、露出が高い服装や、チノパンやジーンズといったカジュアルな服装は避けてください。
3:伺う側の男性親族の服装
新盆に伺う親族の服装として、男性の場合は、施主となる男性よりも畏まらない、格式としてゆるめの服装を選ぶようにします。
招く側(施主側)の服装は、準喪服か略喪服といわれています。そのため、新盆に伺う親族側としては、畏まった感じを少し落とし、略喪服か平服が新盆に適した服装だと考えられます。
施主側から「平服で」という指定がなければ、略喪服にあたる服装をしていった方が無難です。
略喪服
略喪服は、ダークカラーのスーツです。スーツの生地に透かし模様が入っていたり、ストライプやチェックの柄になっていたりする場合は、略喪服にはあたりません。
マットな生地で、ダーク色、スーツとしてのデザインも、過度に流行を意識していないことなどが略喪服の定義になります。
スーツの下に着るワイシャツは、略喪服といえど、必ず白ワイシャツを着てください。ノーネクタイもご法度です。黒ネクタイを必ず締めましょう。
平服
法事としての平服の定義は、ダーク色のスーツとされています。略喪服と定義が重なります。「平服でお越しください」と指定があっても、ノーネクタイは許されません。ワイシャツも白を選びます。
略喪服と平服の定義は、同じスーツを指すように感じられますが、平服は日常的に着ることがあるスーツと認識しておけば良いでしょう。「普段着ることもあるけれど、パリッとしている服装」ということです。
4:伺う側の女性親族の服
親族の新盆に伺う女性の服装も、略喪服か平服とされています。略喪服も法事としての「平服」もダーク色のきちんとした服装を指しています。
施主側の親族から「平服でお越しください」という指定がなければ、略喪服を着て伺うのが良いでしょう。
女性の場合は、ラフだったりカジュアルだったりしなければ、普段着の黒でも非礼な感じは受けません。また、喪服のジャケットを着用せずに伺えば、過度に畏まっている感じにもなりません。
略喪服
親族の新盆に伺う際に、略喪服にあたる服装を着用する場合、グレーや濃紺のワンピースがもっとも適切なコーディネートといえます。
女性の服装としてはワンピースが一番格式が高く、スーツにはビジネス要素が含まれるので、フォーマル要素を表したいならばワンピースがです。
逆に、畏まりすぎたくない、少しフォーマルな要素を落としたいという場合は、スーツやアンサンブルがです。
平服
平服は、「きちんとした普段着」的な意味合いがあるので、親族とはいえ法事に参列する場合には、普段着の中でも格式が感じられるワンピースがです。
平服のスーツやアンサンブルだと、ビジネスやカジュアルな雰囲気が感じらるので、ワンピースの方が改まった感じを表現できます。
ただし、地方では、親族の女性は参列するだけでなく、お茶などお手伝いをすることもあるので、地味で動きやすい服装が好まれる場合もあります。
5:学生の服装
中学生以上の学生が、親族の新盆に出席する場合は、学校の制服を着用します。女子学生の場合、膝上丈のスカートで通学しているのなら、無理に丈を出す必要もありません。
制服の色が黒や紺ではなくても構いません。赤みが入ったスカートの学校もありますが、学生の正装は制服なので、構いません。
制服のない学校に通っている場合は、学校の式典に出席する際のスーツなどを着用するか、大人の「平服」に準ずる服装で出席しましょう。
6:子供・乳幼児の服装
子供や幼児の喪服となる服装もありますが、無理に白黒で揃える必要はありません。派手な色合いでなければ、普段着の中から地味なラインナップを選び、着用しましょう。
黒い洋服があれば、Tシャツなどでも構いません。白いタイツ、黒やグレーのボトムス、黒・グレー・白のスなどがコーデしやすいアイテムです。
親族の新盆ということもあり、子供や幼児にまで堅苦しい服装を強いる必要はありません。
新盆に持参するもの6つ
親族の新盆に参列する際には、どのようなものを持参しなければならないのでしょう。新盆に参列する服装ばかり気にしていて、手ぶらで伺ってしまったりしたら、いくら親族とはいえ無作法すぎます。
ここでは、親族の新盆に伺うときに、持っていくべきものについてご紹介します。マナー違反なものを持参することが無いよう、参考にしてください。
1:香典
新盆は、お葬式ほどの規模ではないものの、お坊さんにお経をあげていただいたり、親族の会食があったり、施主としては出費が重なります。
そのため、新盆に伺う親族は香典を持参します。香典の相場は、5千円から1万円前後です。地方の慣習や故人との関係、自分の年齢でも相場が異なります。
20代や30代の若い独身者は、香典の相場も3千円から5千円前後です。会食が予定されている場合は、食事代を加算した香典を持参します。
2:御提灯料
御提灯料は、親族の中でも故人と特に近しい関係の人が包みます。故人と兄弟姉妹の関係にある人、故人の子供などです。
御提灯料として包む場合もあれば、提灯を購入して送る場合もあります。提灯は関係者が1人で1つ送る場合よりも、兄弟姉妹、子供たちなどで話し合って、購入する場合の方が多く、この場合の費用は折半になります。
提灯を購入して贈る場合は、御提灯料は持参する必要はありません。提灯は事前に届けておきます。
3:お供え物
親族であっても、故人との関係が遠い場合は、香典のみ持参するだけで構いません。もしくはお供え物のみ持参し、香典は包まないという方法もあります。
ただし、地方によっては香典は必ず包むという慣習がある場合もあるので、新盆が行われる地域の慣習を確認しておきましょう。
故人との関係が近い場合は、香典も包み、お供え物を「さらなる気持ち」として持参します。お供え物は、出席できない場合は郵送をします。
4:墓参り用の仏花
墓参り用の仏花は施主側で用意しているので、必ず持参すべきものではありませんが、持参すればその心遣いを喜ばれるものでもあります。
新盆の場合は、花の色を白で統一して持参しましょう。新盆を終えた2年目以降は、色のある花を合わせたものにするのが一般的です。
新盆に限りませんが、仏花は仏様にお供えするので、トゲや強い香り、毒のある花は避けるのがルールです。これらの花を避け、故人が好きだった花を揃えましょう。
5:線香
お墓参りの際の線香は、施主側で用意します。お香典やお供え物に代え、線香を持参することもできます。
仏具店などに行くと、お供え物、贈答品として線香とローソクのセットなども販売されています。線香は消耗品なので、受け取った施主側も困ることはありません。
故人に供えたい香りの線香などがあれば、新盆に持参するのもです。香典+線香、お供え物+線香といった組み合わせで持参することもあります。
6:ロウソクやマッチ
新盆のお墓参り用としては、ロウソクやマッチは施主側が用意するので、参列者が用意する必要はありません。
しかし、先の線香と同様に、お供物のひとつとして、ロウソクと線香、マッチのセットを持参することはあります。
ロウソクもマッチも消耗品であり、仏様を祀っている施主としては毎日使うものなので、新盆の持参物としても適当です。
6:お墓の掃除道具
お墓の掃除道具も、基本的に施主側で用意します。招いた親族と一緒にお墓へ行く前に、施主家族でお墓掃除をしておくことも多く、一般的には参列者が掃除道具を持参する必要はありません。
新盆は親族一同でお墓掃除をするという慣習のある地域の場合は、施主側で全員の掃除用具を準備するのも大変なので、参列者各自が掃除道具を持参するようにしましょう。
親族のみの新盆にふさわしい服装を知ろう
新盆は親族のみで執り行われることも多いものの、「親族だからといって、どこまでが許される服装なのか」など、逆に迷ってしまうこともあります。
新盆は法事のひとつなので、親族だけとはいえ、故人を偲ぶ気持ちを忘れてはいけません。親族のみの新盆に相応しい服装を知り、故人を偲ぶ気持ちを服装でも表現したうえで、新盆に参列しましょう。