あなたの大切な家族がある日死亡されるとき、あなたはどうされるでしょうか。
金融機関である銀行が死亡した家族について、死亡を確認すると銀行口座を凍結してしまいます。銀行口座が凍結されるとどうなるのでしょうか。また銀行口座を解除するにはどうしたらよいでしょうか。
家族の死亡後に銀行口座はどうなる?
人が誕生し家族が増えて嬉しいときと違い、人が死ぬと家族が減って悲しいと思い、なんとか悲しみを紛らしたいと心の整理をしたくても、そんな時間がなかなかとれないという方々が現実的には残念ながらいらっしゃいます。
それは、人が生きてきた足跡とでもいうべきものが残されてしまうので、遺族が整理をしなければならないからです。
その代表的なものとして、死亡された家族の銀行口座をどうすればよいでしょうか。
銀行はいつ故人の死亡を知るのか
病院などで家族が死亡し、宣告を受けると残された家族はさまざまな手続きをする必要がでてきます。
役所の戸籍係に死亡届(遺族が必要事項記入したもの)などをもって届け出をしなければなりません。しかし、役所に死亡届けが出されても銀行に連絡がいくということはありません。
銀行が家族の申告や営業内で知り得た情報の中で、口座名義人の逝去を確認した時点で、その銀行口座が凍結されます。
死亡後に銀行口座が凍結される理由
家族が病気や事故で死亡した際に役所に届けた後に、銀行がその家族の死亡を確認したときに、その故人となった銀行口座を凍結するということになります。
それでは、なぜ銀行は人が死亡したことを確認すると、その人の銀行口座を凍結する必要があると考えるのでしょうか。
死亡した家族が所有していた銀行口座を凍結することで、口座内の残金が確保でき、相続人の間でのトラブルが回避できると考えられるからです。
銀行口座が凍結される期間
死亡した家族の銀行口座が凍結されると、預金のお引き出しはもちろんのこと、これまで死亡した家族の銀行口座から引き落としができなくなります。
家族が死亡したことで銀行口座凍結した場合は、銀行が求める書類を揃えて手続きを完了することで、銀行口座が解除されます。
債務整理により銀行口座が凍結された場合は、銀行の保証会社が代位弁済を終えた時点(1か月~3か月ぐらい)で解除されます。
死亡後に銀行口座が凍結されて起こるトラブル
私たちは日頃から銀行との取引をするために、銀行口座を開設しています。銀行口座には、預貯金の預け入れや引き出すという事はもちろん、クレジットカードや公共料金の引き落とし、給料や年金の振り込みなどの取引が日常的にされています。
家族が死亡したことで金融機関である銀行などが死亡を確認すると日常的な取引は凍結されてしまいます。それでは凍結されてしまった銀行口座には、どのようなトラブルが予想されるでしょうか。
1:葬儀費用
経済的に一家を支えてきた家族が死亡したとなると、まず問題になるのが葬儀費用です。葬儀費用などの場合は、金融機関の判断で払い出しの手続きをすることで、凍結された銀行口座から現金が出せる場合があります。
葬儀費用は、被相続人に係る必要な経費だと銀行が考慮してくれるためです。銀行によって手続きが異なりますので、相談に行かれることをします。
2:当面の生活費
死亡した家族の銀行が凍結されたことで、当面の生活費が銀行口座からだせなくて困るという場合はどうしたらよいでしょうか。
この場合も、葬儀費用と同じく銀行が求める書類を提出することで、現金がだせる場合があります。この場合は銀行に相談されることをします。
3:各種引き落とし
死亡した家族の銀行に、公共料金やクレジットカードでの支払いなどの各種引き落としがある場合は、残念ながら引き落としは不可能となります。
公共料金を解約される場合も、引き続き継続される場合も、銀行に相談するようにしましょう。
死亡した家族と生活を共にしていた遺族の方は、継続して使用される場合が多いことでしょう。継続される場合は、引き落としの銀行口座の変更の手続きを早めにされることをします。
死亡後の銀行口座凍結の解除方法
家族が死亡したことで、銀行が家族の死亡を確認すると直ちに銀行口座が凍結してしまいます。この場合はどうすればよいでしょうか。
家族が死亡したことで銀行口座が凍結されても、銀行が求める所定の書類を揃えることで解除することが可能(犯罪に利用されたと疑われている銀行口座は除外)となります。
それでは、どんなことをすれば凍結された銀行口座を解除できるのでしょうか。
1:解除申請者
解除申告者は、主に残された遺族の中で代表となって手続きを行う人をさします。解除申告者となった人は、相続人の意見をまとめて凍結された銀行口座の解除の手続きをおこないます。
銀行に銀行口座の解除申請をする前に、相続人の間で話し合いをすることで、スムーズに銀行口座の解除ができる可能性があります。
なお、稀に遺言執行者(家庭裁判所で選任される場合も含む)が解除申告者になる場合もあります。
2:必要書類4つ
金融機関である銀行などによっては多少違う手続きとなる場合が予想されますが、銀行に提出するために一般に必要とされる主な書類は下記のとおりとなります。
相続人の方々に前もって連絡し、協力してもらうようにしましょう。
故人の戸籍謄本
被相続人の出生から死亡までの故人の戸籍謄本(除籍・改正原戸籍)が必要になります。
戸籍謄本は、戸籍に記載されている全員の情報が記されています。一方、戸籍抄本は、戸籍に記載されている人の中で必要な一部の人の情報が記されたものになります。
戸籍謄本も戸籍抄本も内容に変わりはありません。今日では、戸籍の情報を磁気ディスクに保管されるようになったことから、個人事項証明書という名称に変わりました。
相続人全員の戸籍謄本
死亡した故人が家族であるときはもちろんですが、親族(例えば伯父、伯母など)が死亡した際に相続人(例えば、甥、姪など)であるための証明書として戸籍謄本が必要となります。
被相続人と相続人との関係を示すのが戸籍謄本となりますので、甥や姪にあたる方は、3親等
の傍系親族となりますので、祖父母の戸籍謄本から必要となります。
相続人全員の印鑑証明
遺産分割協議書を作成するときに、相続人全員の印鑑証明書が必要となります。これは、あくまでも本人の意思であることを証明するための実印であるという証明となります。
印鑑証明書をあげていない相続人の方は、居住区内の役所にあらかじめ申請しておきましょう。
遺産分割協議書
銀行は第三者の立場として法律にのっとった行動をします。それは人によって違うという事は当然ながらありません。
遺産分割協議書は、遺産相続に係るトラブルを避けるために銀行などが求める書類です。このことで、遺産に関するトラブルがないことを第三者である銀行に示す書類となります。
死亡した故人の銀行口座のトラブルを避ける方法
家族が死亡したことで銀行口座が凍結されてしまうと、残った遺族の生活が困窮する事態も考えられます。
銀行での所定の手続きを終えるにしても、時間がかかりスムーズに凍結された銀行口座が解除されにくい可能性があります。
このような場合、いくつかの銀行取引に関するトラブルが起こる場合があります。私たちが、家族が死亡した後も困らないようにする対策をしなければなりません。
預金は夫婦で分散して持っておく
家族が死亡し銀行口座が凍結することによって、当面の生活費が困るという事態にならないために、預金は夫婦各自に分散して持っておかれることをします。不意の病気や事故による治療費も、すぐに役にたつことでしょう。
相続人通しで意思確認をしておく
家族に万が一にも死亡をした場合の話は不吉な話だと終わらずに、日頃から家族や相続人となる予定の人々に意思を表明し、確認しましょう。
葬儀やお墓、可能な限りの銀行取引情報(例えば○○銀行△△支店など)なども確認することをします。
死亡後の銀行口座処理の仕方を知っておこう
家族が死亡したことで銀行口座が凍結され、その解除のために所定の手続きを完了された場合には、同時に故人となった銀行口座を閉鎖するという処理を銀行にしてもらいましょう。
万が一相続人の間でトラブルが発生しても相続税の納税期間(相続開始を知った日または被相続人が死亡した日の翌日から10か月以内)が決まっているため延長されることがありません。
トラブルが起こりそうな場合は、早めに弁護士に相談しましょう。