故人を偲び、冥福を祈って営まれるのが法要です。
法要には忌日の数え方や法要の実施時期について決まりがあります。正しい数え方や実施時期をご存知ですか。ここでは忌日や回忌の正しい数え方と、法要の実施時期についてご紹介します。正しい数え方で法要を営みましょう。
回忌とは
回忌とは、人が亡くなった後に毎年回ってくる祥月命日(しょうつきめいにち)のことをいいます。
命日(めいにち)とは、その人が亡くなった日を指します。忌日(きにち)ともいいます。祥月命日とは一周忌以降の、故人が亡くなった月日と同じ月日のことです。
日本の仏教では、一定の年数の命日には年忌法要(いわゆる法事)が営まれます。今回は回忌の正しい数え方や法要の実施日について学んでいきましょう。
「回忌」「年忌」「周忌」の違い
法事にまつわる言葉の中に回忌や年忌、周忌ということばがありますが、それぞれどう違うのか確認していきましょう。
まず回忌というのは「年回忌」の略語です。毎年来る祥月命日をすべて含めて「回忌」といいます。年忌も毎年来る祥月命日のことで、回忌と年忌は同じ意味になります。
回忌(=年忌)は命日を1年目と考える数え方をしますが、周忌は1年後の命日を1年目として考える数え方をします。
回忌の正しい数え方と法要の実施時期
法要とは、遺族が故人を偲び、冥福を祈るための追善供養(ついぜんくよう)のことです。仏教では、人が亡くなってから一定の日数や年数で法要を行います。決まった日数で行う法要を忌日法要(きびほうよう)、決まった年数で行う法要を年忌法要(ねんきほうよう)といいます。
ここではまず年忌法要について学んでいきます。回忌の正しい数え方や実施時期を見てみましょう。
1:一周忌
故人が亡くなって満一年目の回忌の数え方は一周忌といいます。主に遺族や親族で行いますが、友人や知人も交えても行われます。住職に読経してもらい焼香します。この一周忌をもって喪が明けます。注意したいのが、「一回忌」との数え方の違いです。
一回忌は「第1回目のお勤め」という意味です。すでにとり行った葬儀におけるお勤めのことを一回目とする数え方です。つまり命日から1年経過した一周忌=二回忌となります。
2:三回忌
故人が亡くなって満二年目の回忌の数え方は三回忌です。遺族や親族、知人などで行います。住職に読経してもらい焼香しますが、規模は一周忌よりも縮小されて行われる場合もあります。
基本的に友人や知人が参加するのは三回忌までで、次の七回忌以降は遺族や親族のみで営まれるのが通常です。
日程は一周忌法要と同様で祥月命日が原則ですが、満2年を過ぎない範囲で参列者が揃いやすい土曜や日曜に設定されることが多いです。
3:七回忌
故人が亡くなってから満6年目の数え方は七回忌です。三回忌の法要までは盛大に行われることが多いですが、この七回忌あたりから法要の規模が縮小されていき、親族のみでこじんまりと法要が行われる場合がほとんどです。
日程は一周忌法要などと同様で祥月命日が原則ですが、満6年を過ぎない範囲で参列者が揃いやすい土曜や日曜に設定されることが多いです。また近年では七回忌法要は行わないというケースも増えています。
4:十三回忌
故人が亡くなってから満12年目の回忌の数え方は十三回忌です。十三回忌になると四十九日や一周忌に比べて規模は小さくなり、ほとんどの場合親族中心で行われます。
十三回忌になると、故人それぞれの命日に合わせて何度も法要を行う負担を減らすため、 2つ以上の法要を一緒に行う「併修(へいしゅう)」「合斎(がっさい)」で行われる場合があります。2つ以上の法要を行う場合には、どちらからの法要を少し前倒して行います。
5:十七回忌
故人が亡くなってから満16年目の回忌の数え方は十七回忌です。親族のみが集まり行う場合が多いです。十三回忌同様、ほかのご先祖と合わせて法要が行われる「併修・合斎」の形をとることもあります。
住職を呼んで読経をあげてもらい、その後会食を設ける場合が多いです。
日程は他の年忌法要と同様で祥月命日が原則ですが、満16年を過ぎない範囲で参列者が揃いやすい土曜や日曜に設定されることが多いです。
6:二十三回忌
故人が亡くなってから満22年目の回忌の数え方は二十三回忌です。親族のみで集まり住職にお経をあげてもらい、会食を設けたりします。ほかのご先祖と合わせて法要が行われる「併修・合斎」の形をとることもあります。
日程は他の年忌法要と同様で祥月命日が原則ですが、満22年を過ぎない範囲で参列者が揃いやすい土曜や日曜に設定されることが多いです。近年の年忌法要の簡素化により、二十三回忌は行わない場合も増えています。
7:二十七回忌
故人が亡くなってから満26年目の回忌の数え方は二十七回忌です。親族のみで集まり住職に読経してもらい、その後会食を設けたりします。併修や合斎の形の場合もあります。
日程は他の年忌法要と同様で祥月命日が原則ですが、満26年を過ぎない範囲で参列者が揃いやすい土曜や日曜に設定されることが多いです。地域や宗派によっては行われない場合もあります。
8:三十三回忌
故人が亡くなってから満32年目の回忌の数え方は、三十三回忌です。遺族、親族で供養し、規模も一周忌や三回忌に比べてかなり小さくなります。
日程は他の年忌法要と同様で祥月命日が原則ですが、満32年を過ぎない範囲で参列者が揃いやすい土曜や日曜に設定されることが多いです。地域の慣習や菩提寺の考えによって異なりますが、一般的には三十三回忌を、年忌法要を終え永代供養とする「弔い上げ」とすることが多いです。
9:五十回忌
故人が亡くなってから満49年目の回忌の数え方は、五十回忌です。親族のみで集まることがほとんどです。
日程は他の年忌法要と同様で祥月命日が原則ですが、満49年を過ぎない範囲で参列者が揃いやすい土曜や日曜に設定されることが多いです。
五十回忌以後は50年ごとに百回遠忌(満99年目)、百五十回遠忌(満149年目)と行いますが、ここで弔い上げをして年忌法要を終了するのが一般的です。
忌日の数え方と法要の実施日
忌日(きにち)とは故人が亡くなった日のことをいい、命日とも呼ばれます。仏教では人が亡くなった命日から数えて7日ごとに供養を行います。7日ごとに行われる法要を忌日法要といいます。
初七日から始まり四十九日の法要まで七回の忌日法要が行われます。ここでは初七日、四十九日、百箇日の数え方と法要の実施日をご紹介しましょう。
1:初七日
故人が極楽浄土へ向かえるよう供養する、葬儀後の法要です。初七日は故人の命日も含めて7日と数えるのが正しい数え方です。初七日は故人が三途の川のほとりに到着する日とされています。
一般的に初七日は骨上げから2.3日後となります。しかし親族が葬儀後再び集まるのは大変なので、「繰り上げ初七日法要」や「繰り込み初七日法要(式中初七日法要)」という形で葬儀当日に行う場合も増えてきました。
2:七七日(四十九日)
葬儀のあとに迎える最も大切な法要が四十九日法要です。四十九日の数え方は故人が亡くなった命日を1日目と数え、49日目にあたる日を四十九日とします。
関西地方では命日の前日から数えて49日目を四十九日とする場合があります。
法要が当日に行えない場合、繰り上げるのは構いませんが、49日よりあとにずらすのはよくないとされています。四十九日を過ぎない範囲で参列者が揃いやすい土曜や日曜に設定されることが多いです。
3:百箇日
故人が亡くなってから100日目のことを百箇日といい、その際行われる法要を百箇日法要といいます。「卒哭忌(そっこくき)」とも言われ、遺族が悲しみで泣くことから卒業しようという意味合いを持つ法要です。
親族や故人の知人が集まり、住職に読経してもらい供養を行います。最近では百箇日法要は省略されることがあり、四十九日の次は一周忌法要となるケースもあります。
当日の法要が難しい場合は100日前までで行います。
回忌の正しい数え方を知ろう
回忌の正しい数え方が分かったでしょうか。百箇日法要までは亡くなった日を1日目として数え、一周忌のみ満1年目、三回忌以降は「数え」で数えるのが正しい数え方です。
法要を週末に営む人が多いので、お寺も週末にお勤めが集中します。年の初めには年忌法要を営む人がいるか家族で確認しておき、予定がある場合は早めに日取りを決めてお寺に連絡をしましょう。正しい数え方で法要を営み、故人の冥福を祈りましょう。